第2集

かはらん事やろ

 ああ、何をしよう、ああ、何をしよう? ……私は何もしてゐない、してゐない……あなたに誕生日を祝つてほしいだけなの、下らない事だけれどね。あなたにはパンティを送り附けてね。反應を窺つて。あなたが笑つてくれる事が、私の一番の樂しみだからね。だから今日は話し掛けるかもしれないし、さうでないかもしれないし……手紙は書いたんだ。でも出さないかもしれないな、話したいから。さうして私は、一つ不滿の苑に身を沈める。どこにも不滿なんて無いのだけれどね、その實。私はまたあなたと話すだらうね。あなたも年を取るだらうね。とつてもよい事。樂しい事。とつても樂しみ。

 私の誕生日は見過ごされても良いが、あなたの誕生日は見過ごせない。さう思つてゐたが、あなたが「なにもかはらんやろ」つて言つたら、途端にどうでもよくなつてしまつた。

次:夜道

前:使命感

公開:2022年5月8日

初出:2018年2月6日

著:絲

適用:CC0[著作權抛棄]

📚 gemini://sinumade.pollux.casa/sinumade/2018/2/55.gmi