第2集

使命感

 凡ての詩を停止して 私は詩を書きたい

 たださうする事が義務のやうな氣がして

 やるべき事のやうな氣がして

 それだけが私の生甲斐のやうな氣がして

 昔の詩を讀み恥入る

 それだけが建設的な暇潰しのやうな氣がして

 今は俗語を斷つてゐる、

 何だかまともな|文章《もの》を書きたくて、

 自分の居場所に戾りたくて……

 でも氣がつくと うるさいラジオをつけてゐる

 いつもの|每日《いつも》

 鳥が鳴いて 空は白い

 詩人は何を語るかつて それすらも知らず

 私は下手な字を追ふ

 ——それが義務な氣がして

次:かはらん事やろ

前:日常

公開:2022年5月8日

初出:2018年2月6日

著:絲

適用:CC0[著作權抛棄]

📚 gemini://sinumade.pollux.casa/sinumade/2018/2/54.gmi