第3集

惡魔の證明

 時折僕が、朝方にうとうとし始めて、非常にのんびりしてゐると、

 證人さんがやつて來て、

 指紋だらけの汚い板で、畫を見せた

 彼らの「近附くべきでない」といふ人々、その網羅が、まるで僕そのままだつたので、笑つてしまつた

「|日常《まはり》を見渡して、思ひ當るやうな事はございませんか?」

 だなんて、また僕は笑つてしまふ、彼らの言ふやうな、惡魔の權化はここにゐるといふのにね

 それが見拔けないやうでは、やはり、眼が無いんだよ、君たちは

 ああ、私そのものですね、といふ言葉を飮込んで、

 彼らを見送つた、

 せせら笑ふべきだつた

次:ないものねだり

前:逢引

公開:2022年5月8日

初出:2018年3月6日

著:絲

適用:CC0[著作權抛棄]

📚 gemini://sinumade.pollux.casa/sinumade/2018/3/155.gmi