第2集

よかつたよかつた

 久しく話した陽の中で

 私は名前を打明けた

 今は詩を書いてゐるのと言つて

 私の氣を紛らはした

 一番傷附き|恥入《やすい》この氣持を

 私の詩を讀んだ時

 あなたの|心音《こころ》はどうだつたか

 想像難く 今に私の|身體《こころ》はこちこちで

 でもあなたに讀まれたならば死ぬるだらうよ

 ゆつくりこくりと死ぬるだらうよ

 無駄な足搔きもせず

 ゆつくりと……

 きつぱりと

 死ぬるのだ

次:息拔き

前:臆病

公開:2022年5月8日

初出:2018年2月13日

著:絲

適用:CC0[著作權抛棄]

📚 gemini://sinumade.pollux.casa/sinumade/2018/2/83.gmi