第2集

忘れ物

 言葉すら私を幸せにしないのに、

 どうして物が私を幸福にしてくれるつていふだらう!

 だから氣に入つた便箋は君のために使ふのだ、

 價値有る事のために——本來の使ひ方——ほんの價値のある使ひ方をしたいのだ、僕は

 それは使ふためのものだから使ふのだ

 でなきやなんだといふのだらう

 いつか言葉が讀めなくなつても

 かすかな記憶で醒めるだらう

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公開:2022年5月8日

初出:2018年2月27日

著:絲

適用:CC0[著作權抛棄]

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